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朝。出初式へ。郷ノ浦にあるホールへ行く。表彰式をしていたのでしばらく見学。知っている方も表彰されていた。壱岐ではこの消防出初式が終ると仕事始めという気持ちになってくると聞いた。僕の育った地域に消防団があったかどうか分からないけど、おそらくこのような盛大な表彰式はなかったのではないかと思う。壱岐の消防団には全国優勝するような分団が、芦辺と石田の二か所もあるし、壱岐で知り合った多くの方が消防団に所属しているのだから、全国的にもかなり盛んな地域と言える。

全国優勝の話を聞いた時に凄いのだなとは思っていたが、こういう式典を見ると、少し雰囲気が伝わってきた。僕の考えていた消防団は地域の火消し隊で、町内会活動のようなものの延長にあると思っていた。ときどきある清掃活動や小さな祭りや子ども会なんかと似たものだと捉えていたのだが、それは全く間違えていたようだ。

ウィキペディアで調べてみると、消防団員は非常勤地方公務員という位置づけのようだ。一定の報酬や手当もあるとも書かれている。役所のHさんに聞いたら、「厳しいしやりたくない」「みんなボランティアだ」と言っていた。僕の故郷に消防団があるかどうかさえも知らないし、消防団についての知識は全く持ち合わせていないのだが、さっきウィキペディア分をかろうじて知った。先生によると、不透明な金の流れについても書かれていて、ボランティア発言には「おや?」と思った。出初式についても書かれていて、観客の有無やパフォーマンスには地域差があるようだった。いずれにしても、壱岐が消防団の活動にかなり力を入れていることは間違いない。でなければ、全国連覇したり、こんなにたくさんの消防団関係者と出会うはずはないのだから。

郷ノ浦で式典を見た後、妻を芦辺港まで送り……涙の別れ。まだ一斉放水は終わっていないのになぜなんだろう。(と、書くように言われた。)

その後すぐに勝本へ。式典の一時間後に各地域に分かれ一斉放水をすると聞いたので、式典があった郷ノ浦からは一番遠い勝本に行ってみようと決めていた。到着すると地域の子どもたちもたくさん来ている。そういえば、小さい頃の「将来の夢」に、消防団員と書いていた子がいたが、こういう姿を見たことがあったのかもしれないなと思った。僕が知らなかっただけで、育った地域でも何か行われていたのかもしれない。ラッパの音と共に一斉放水が始まる。派手だった。

僕が今回の出初式で一番驚いたのは、一般市民でも敬礼をするのだということだった。式典中も、一斉放水した後の閉会時にも、消防団の方々は何度も敬礼をしていた。僕はこういうのを見たことがなかったので違和感を持ったが、消防団では一般的なことらしい。団長の言葉も発声の仕方も、軍隊式のようであった。国境離島振興法など、国防に関わるような予算が壱岐には降りていることや、元寇襲来で壊滅になった歴史などを考えると、守るということの全体の意識の高さが現れているのが消防団なのかもしれない。それは、国防というだけではなく、地域の風習や仲間意識などにも影響を与えていそうだ。もしかしたら壱岐の何割かの雰囲気を作っている主要な要素が消防団なのかもしれないとまで思った。公共性の観点からも少し考えてみたいが…今はまだ難しい。

勝本地区の閉会の様子

昼。勝本にある「よしもと」で かつ丼。以前お薦めされていたが、やっと来ることができた。勝本で勝つ丼ではないか…と思ったりする……。全く関係がない事だが、僕は普段かつ丼をそんなに食べないようにしている。それは好物だからなのだけど、何と説明してよいのか分からない。死ぬ前に食うとしたらかつ丼が良いなと前々から思っている。以前二週間ほど断食をしたときに、何度もかつ丼を食う夢にうなされたことがあり、確実に好物だと知った。断食終わりの一食目にいきなりかつ丼を入れてみたが、それは忘れられない。また来たい。


部屋に戻り、出初式の映像を編集。僕はいったい何の映像をつくっているんだろうかという気持ちになりつつ、ここにアップ。しかし、編集しながら先に触れたようなことを考えていたのだから、考えるために作業したとも言える。


夕方から深夜。機材チェックと電池の充電。明日の朝は撮影をさせてもらうのだ!二台のカメラで対応するため、すぐに撮影できるように、あらかじめ組み立てておくことにした。フィルターを一個しか持っていないため、二台で撮影して上手くいくのか不安な点もあるが、使える素材が撮れていないというミスだけは絶対に避けなくてはならないので念入りに二台で臨む。音源もカメラ側とレコーダー側で二つ収録する準備。

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